Nami Shams Game Studios
雲海の上の崖の道を歩くネリと柴犬のモチ。遠くに浮かぶ塔と滝

LUMA 光・ストーリーバイブル

光と墨の
書

LUMAの世界、人びと、旅を、一冊の画集のように。本編にネタバレはありません。結末は、いちばん下に折りたたんであります。

世界

ほんものの1868年の日本と、夢に見た建物。ネリがふれるものはすべて実在しました。塔だけが、だれも挑んだことのない高さです。

  1. 時代の終わり、1868年

    江戸時代の終わりの日本。木、和紙、青銅、綱、漆。渡し舟、旅の行李、油の灯り。電気も鉄骨もなく、1868年になかったものはひとつもありません。水平線には黒船が見え、だれもが、なにかが変わろうとしていると感じています。

  2. 灯籠

    だれもおぼえていないほど昔から、灯籠守は毎晩塔にのぼり、てっぺんの灯りをともしてきました。その光が塔をめざめさせ、庭と庭、島と島をつないでいたのです。

  3. しずけさの夜

    ある夜、灯籠がひとつ、またひとつと消え、空がすっかり暗くなりました。道はずれ、鐘は鳴りやみ、世界は眠りにつきました。だれが灯りを消したのか、まだだれも知りません。

  4. 百階の塔

    夢なのは建物だけ。雲海から突きでた岩の針の上に塔が立ち、滝は霧へ落ち、門が島に浮かびます。春は十階ほど、最後には百階ちかく。重力はうそをつきませんが、大きさは夢のままです。

  5. 折る

    壁が、階段になる。LUMAの壁はすべて、継ぎ目の見える石と和紙。ネリが継ぎ目を引くと、壁は飛び出す絵本のように一段ずつひらき、階段に、橋に、バルコニーになります。これがこのゲームのただひとつの動詞です。

  6. 金継ぎの筋

    ネリが使った折り目は、巻きもどるときに細い金の筋を残します。割れた器を金でつなぐように。塔に灯りがともると、光はまさにその筋をつたって流れ落ちます。同じ塔を残す人は、ふたりといません。

ハナと、しずけさの夜

ハナは灯籠守でした。灯りが消えた夜、ハナは自分のランタンを娘にわたし、いちばん高い階段をのぼっていきました。それからネリの手がかりはひとつだけ。母は、上へ行った。

家で歌うハナと、そのひざで眠る幼いネリ
夕方、ハナがうたい、ネリはそのひざで眠る。
ランタンの取っ手をにぎり、ネリに手わたすハナの手
「あたためておいてね。ほかの光をとりもどしてくるから」
暗い階段を霧のなかへのぼっていくハナ
そして灯りも持たずに、霧のなかへのぼっていった。

登場人物

ゲームの絵柄でえがいたキャラクターシート。だれも演説はしません。だれもが、まわりの空間を変えていきます。

黒いおかっぱに赤いマフラー、真鍮のランタンを持つ少女ネリ
ネリ
ランタンを持つ少女

ネリ

十二歳、ひとりきり。母が上へ行ったから、のぼっていく。

  • 段をかぞえる。家から鳥居までは108段だった
  • だれも聞いていないとき、炎に話しかける
  • 勇気はあるけれど、こわいものもある。けっして戦わない
  • 黒いおかっぱ、赤い髪紐、風向きを教えてくれる長い赤いマフラー
緑のスカーフを巻き、すわっている柴犬のモチ
餅もち
柴犬

モチ

いつも、ひとつ先の塔にいるような小さな赤い犬。

  • 春のあいだ、高い塔の上にちらりと姿を見せる
  • 夏にネリの旅に加わり、小花柄のセージ色のスカーフを巻く
  • かくれた継ぎ目をかぎつけ、すき間をくぐり、踏み板をおさえ、吠えてネリを呼びもどす
  • 巻いたしっぽ、クリーム色の胸。分かれ道ではしっぽをふる
光るランタンを幼い娘に手わたすハナ
花はな
灯籠守、ネリの母

ハナ

自分のランタンを手わたして、霧の向こうへのぼっていった。

  • 長いあいだ、塔の灯籠を守ってきた
  • 夕方になると、ネリに歌をうたった
  • 最後のことば:「あたためておいてね。ほかの光をとりもどしてくるから」
  • 低くまとめた黒髪、桜柄のセージ色の着物、すもも色の帯
藍色の着物をまとう影の女、墨の三面図
墨すみ
影の女

墨(スミ)

待つことに耐えられなかった、ひとりの灯籠守。

  • 歩くと裾が濡れた墨のようににじむ黒い着物
  • 動かない白い能面、筆の跡のような長い髪、ずっと昔に消えたランタン
  • ネリがひらいたものを折りとじ、灯りを消し、墨の影を送りだす
  • おそろしいけれど、けっして残酷ではない。暴力もふるわない
藍の羽織に鍵と手提げ灯籠を持つ夜廻りの三面図
夜廻りよまわり
侍と足軽

夜廻り

灯りが消えても、いまも見まわりを続ける1868年の男たち。

  • 陣笠や兜、家紋の羽織、漆の甲冑
  • 竿の先の提灯。槍や薙刀は持つだけで、使わない
  • 決まった道を歩き、提灯をかかげて知らせる
  • ネリが塔の謎を解くと、頭を下げる
杖とランタンを持つおばあさんと、そばに浮かぶ幽霊の鯉
灯守
灯籠守

苔のおばあさん

光を、必要なところへ向けてくれる人。

  • 銀の髪、渦巻きの杖、そばに幽霊の鯉
  • 灯籠の鉤をまわして、光の輪を別の壁へとどける
  • たくさんの灯りが消えるのを見てきたのに、またともる日を信じつづけている
長い木の櫂を持つ渡し守の三面図
渡し守わたしもり
水を読む人

渡し守

背丈より長い櫂と、あらゆる流れを見ぬく目。

  • 次の潮が舟をどこへ運ぶか、櫂でさし示す
  • 渡し賃はとらない。かわりに、話をひとつ
  • 日本の渡しと雲海の渡しを守っている
笠をかぶった旅の僧の三面図
雲水うんすい
鐘の音を聞く人

旅の僧

まるで行き先を知っているように、いつも道のひと曲がり先にいる。

  • 笠、托鉢の鉢、旅の荷
  • 青銅の鈴を鳴らすと、聞こえる範囲の継ぎ目が光る
  • 最後の門で、海をさし示す
赤い上着でランタンを持つ狐面の少年の三面図
狐面の少年
好敵手

狐面の少年

壁の向こう側から、道をひらいたり閉じたりする。

  • こめかみに白い狐の面、腰にランタン
  • だれも信じない。ひとりの時間が長すぎたのかもしれない
  • 彼がだれの味方なのか、それが夏の問い
氷の結晶の衣をまとう雪女
雪女ゆきおんな
雪の精

雪女

銀白の髪と、氷の結晶の衣。

  • 冬の仕掛けに息を吹きかけると、ふれたものが凍りつく
  • それをとかせるのは、ぬくもりだけ
  • 残酷なのではなく、ただ冷たいだけ
竹林の三体の小さなこだま
木霊こだま
木の精

こだま

竹林に住む、小さな白い精たち。

  • しずかに光って、道を教えてくれる
  • じっと立ちどまっていないと、姿を見せない
金の折り目のある象牙色の紙の狐
紙狐
かくれた道の案内役

紙の狐

象牙色の紙で折られ、ふちは金色。

  • 紙しか支えられない場所を歩いて、かくれた継ぎ目を見せる
  • 先に行き、ふり返り、待っている
  • 道を教えてくれるけれど、ぜんぶは教えない

旅

四つの季節、七つの土地、一年の旅。パズルの答えではなく、テーマと空気を。

桜の門
第一章・春・日本 · レベル1〜12

桜の門

桜の庭とミント色の屋根にさす朝の光。ネリはひとりで、段をかぞえ、炎に話しかけながらのぼります。最初の塔に灯りをともし、世界がどれほど高いかをはじめて知ります。そして何度も、小さな犬が上の塔から見下ろしていて、たどり着くころにはもういないのです。

  • ひとり
  • はじめての光
  • 上の塔の犬
  • 遠くで灯りを吹き消す影
春の朝、高い塔の上に一匹の犬。
春の朝、高い塔の上に一匹の犬。
竹と霧のたそがれ。ほら、また。
竹と霧のたそがれ。ほら、また。
雨の広間
第二章・夏・日本 · レベル13〜24

雨の広間

蓮の池にふる雨、運河の潮、蝉と蛍。モチがとうとうネリのもとへやってきて、ネリは母の布から切ったスカーフをその首に結びます。ふたりになると、なにもかもがあたたかい。だからこそ、なにもかもを失うかもしれない。墨が遠くから姿をあらわし、夏の社で、狐面の少年への信頼が試されます。

  • ともにいること
  • 雨
  • 信頼と裏切り
  • 暗がりでのはじめての喪失
春の終わり、モチが飛びおりてくる。
春の終わり、モチが飛びおりてくる。
ハナの布でつくったスカーフ。
ハナの布でつくったスカーフ。
アーチ橋の港
第三章・秋・海をこえて、中国 · レベル25〜28

アーチ橋の港

空の海賊船が、ネリとモチを雲海の向こうへ運びます。そこには蓮と柳と石橋の水の都。輪のように築かれ、市場も水門も水とともに上がり下がりします。世界は、悲しみよりも大きい。

  • 驚き
  • もっと大きな世界
  • 手をさしのべる見知らぬ人
山の寺
第三章・秋・朝鮮、夜の雨 · レベル29

山の寺

重い瓦屋根の下の暗い中庭、ぬれた花崗岩、わずかな灯り。ここでは、鳴るものと光るものだけが大切です。大きな青銅の鐘、火をたく床下であたたまる床、向こうに立つ影を映す障子。耳をすます章です。

  • 耳をすます
  • ものごとをはっきりさせる暗さ
  • 鐘
百の旗
第三章・秋・戦の日本 · レベル30〜36

百の旗

ネリが帰ると、国はふたつに分かれていました。どの城壁にも旗、くずれた道、墨の眠りに凍りついた村人たち。ネリはけっして戦いません。戦は遠くにあり、ネリは別の道を見つけます。人びとを安全な場所へ運び、孤立した村へ米を送り、ふたつの家のあいだの橋をおろします。どの幕も、勝利ではなく、つながりで終わります。

  • 変わってしまった故郷
  • ひとつの壁のふたつの側
  • つくろうこと
雪の屋根
第四章・冬 · レベル37〜46

雪の屋根

雪、凍った滝、銀青の影、山頂の社。寒さは、ぬくもりが手放すまでどの折り目も凍らせておきます。塔は九十階にとどき、墨が雪のなかをネリのあとについてきます。とっておくのではなく、分けあうぬくもりの冬。

  • 寒さとぬくもり
  • すぐうしろの墨
  • 頂上
遠い国の夢
幕間・アメリカ、1870年代 · レベル43

遠い国の夢

冬の夜、ネリは見知らぬ人たちの国の夢を見ます。れんがと木の港、灯台、外輪船。そして一歩ごとに、うしろでもう一度ひびく足音。夢であり、日本の向こうにあるもののかいま見でもあります。

  • 夢
  • こだま
  • 向こうの世界
見知らぬ光
終章・ロンドン、1872年 · レベル47〜49

見知らぬ光

水平線のターコイズの光、霧のなかの黒い船。ターコイズはLUMAのほかのどこにも出てきません。それは見知らぬ人たちの色。その光の先で、LUMA Iの旅は終わり、LUMA IIがはじまります。

  • すべての灯り
  • ターコイズの光
  • 橋

モチーフ

  • ランタン

    ハナの炎。かくれた継ぎ目を見せ、鉤にかければ折り目をとどめ、章の終わりごとに真鍮の輪がひとつふえます。

  • 108段

    ネリがかぞえるのは、かぞえると時間がととのうから。段は、ネリのすることすべての物差しです。

  • 赤いマフラー

    長くて軽くて、いつも動いている。風向きを教えてくれ、風は手がかりになります。

  • 鐘

    鐘はめざめ、見つけること、思いだすこと。しずけさは、その反対です。

  • 金と朱

    灯りのともった世界のあたたかな色。藍と緑がそれにこたえます。ターコイズは黒船だけの色です。

  • 話されることばはない

    物語を運ぶのはカメラ、音楽、手ざわりの振動、しぐさ。文字は短く、言語をまぜることはありません。

ネタバレ:旅を終えてから読んでくださいLUMA Iの結末:ハナ、墨、モチ、そして橋。最初は閉じてあります。
ハナの花
レベル46・冬の頂上

ハナの花

頂上の雪をかぶったふたつの石のあいだで、ネリは押し花の桜を見つけます。ハナのものです。ハナはもう帰ってきません。ネリは気づきます。母は光をとりもどそうとしていたのではなく、分けあたえようとしていたのだと。

レベル47・すべての灯り

墨の面

五つの幕をこえて、ネリは影の城の屋根へのぼります。頂上でネリは、ランタンを墨に向けるのではなく、その足もとにそっと置きます。白い面に、金色のひびが走ります。墨は、ハナと同じく、待つことに耐えられなかった灯籠守でした。そしてはじめて、ネリのために階段を折るのです。

モチの光
レベル48・光の帰郷

モチの光

最後の墨の波がおしよせ、モチがネリの前に立ちます。苦しむことはありません。ひとすじの光、最後にひとふりのしっぽ、そしてモチは光になります。その光はネリが折ったすべての塔の金の筋を走り、いっせいに灯りをともします。それからは小さなあたたかい光がネリについてきて、ネリが立ちどまると、そのとなりにすわります。ゲームはそれについて何も語りません。

レベル49・見知らぬ光

橋

ネリとモチの光は、ターコイズの光を追って海をわたります。黒い船が霧のなかに着きます。最後の場面は、1872年ごろのロンドン、テムズ川にかかる石の橋。霧のガス灯、大きな時計塔。ネリは欄干にランタンを置き、小さな光がそのとなりにすわります。橋の向こう端で、ガス灯がひとつターコイズにゆらめきます。百階を上へのぼりつづけた旅は、世界と同じ高さで終わります。暗転。LUMA II。そして「モチへ」。

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物語、登場人物、世界:Nami Shams。キャラクターシートと各地の景色はゲームのためのアートディレクションで、ゲーム画面ではありません。